鎌倉中心部の石仏(その1)          目次にもどる  
 
        八雲神社
  
    覚園寺付近
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鎌倉の石仏

古都鎌倉の寺社には石造物が多く、日本石仏協会の石仏地図手帖には、五輪塔や墓塔を中心としたコースが紹介されている。
ここではなじみの深い庚申塔や地神塔を中心にした2コースを紹介する。(別項に北鎌倉の石仏、大船の石仏)
古都だけに寛文から延宝の古いものが多い。鎌倉観光のついでにぜひ見学して欲しい。

コース1 極楽寺〜鎌倉八幡〜鎌倉宮
江の電極楽寺駅を起点とした鎌倉観光標準コース。
極楽寺境内に寛文11年の三猿庚申塔があり、市指定民俗文化財。@
何故か境内の写真撮影禁止

 ▲極楽寺角の地蔵堂脇に寛文の阿弥陀石仏
極楽坂切り通しを通って長谷に向かう。
 ▲成就院上り口の反対側、長い階段途中の左手に三基の石碑がある。

 ▲「力餅茶店」に優雅な文字の道しるべ石塔(長谷くわんのん すぐ道)があるが、これも庚申塔である。
道しるべで左折すると、線路を越えた先が権五郎神社(御霊神社)で、拝殿右奥に11体の庚申塔がある。うち二体が市指定。A
○延宝元年青面金剛変形六手。三叉戟、金剛鈷、ヘビの巻き付いた剣、輪、索、下左手は数珠。
○文政八年青面金剛。変形六手。三叉戟と輪、索とショケラ、弓と矢。
 ショケラは袖の付いた着物姿。「市指定」になったのは烏帽子をかぶって踊る三猿が変わっているため。
  教育委員会資料に「青面金剛が神楽鈴を持つ」と書いてあるのはおかしい。青面金剛の持ち物としてごく普通の「宝輪」である。
他に正徳4の片手サルの青面金剛、享保8、安永4の青面金剛。自然石の庚申塔や青面金剛塔多数。
 
長谷観音長谷大仏を拝観。
 ▲長谷観音境内に石仏  
 ▲長谷大仏山門の左手に元禄13の「片手サル」青面金剛など数基
海岸通りを徒歩で鎌倉駅方面に進む。(★途中に鎌倉文学館
▲長谷東町バス停、「主馬盛久之首座」石碑の所に庚申塔、念仏講碑など数基。

六地蔵と芭蕉句碑。処刑場のあった場所で、「夏草や・・・」の芭蕉句と   「この礼はだれになすべき清水かな(買明)」の句碑
六地蔵で左折して直進。鎌倉駅西口を通過し、そのままJR線路左側の道を進む。八坂神社と寿福寺の境界線に数基の庚申塔がある。B
 ○市指定文化財の寛文8年庚申塔は最左端、庚申供養と書いただけの小さい文字塔で、三猿もない。一猿を丸で囲んだだけの簡単な庚申塔。
  延宝8年の三猿塔は「片手サル」で、この石工の三猿は珍しい。
  右端の立派な享保の庚申塔は道しるべ付で「此方 長谷観音、江島弁天道」「川上 八幡宮、川下 藤沢宿」。
寿福寺前の踏切を渡り、鶴ケ岡八幡に向かう。
▲踏切を渡ってすぐ、左手に岩屋不動があり、洞窟の左に数体の庚申塔がある。
鶴ケ岡八幡の大鳥居左手の道を進む。八幡裏鳥居の少し手前、左手山側へ入る道が「旧巨福呂坂」で先は行き止まり。
聖天神社鳥居脇に道祖神、猿田彦大神、青面金剛、大国主大神など雑多な石碑石仏が集められている。C
鶴岡八幡を横切り、★近代美術館から★国宝館付近を通って大塔宮に向かう。
八幡境内を出るとすぐ、「来迎寺」の道案内があるのでこれに従って500mほど道の奥へ入っていくと、来迎寺の隣の八雲神社に三体の青面金剛がある。D
  (鎌倉には八雲神社が3つあるので注意)
延宝八年四手青面金剛(市指定文化財)「片手サル」石工の初期の作品。同じ延宝八年の四手像が横浜港南区野庭と大船多聞院にある。
 持ち物は三叉戟、金剛鈷、弓、矢
○元禄五年六手合掌青面金剛。同じ石工の「片手サル」。持ち物は三叉戟、棒、弓、矢と合掌手。
○文化五年剣人型青面金剛、ショケラに袖がはっきり描かれている。江戸中期以後、半裸でないショケラがしばしば作られた。
もとの道に戻り、観光コースを頼朝の墓、荏柄天神をみて大塔宮(鎌倉宮)へ。
鎌倉宮からさらに覚園寺への道に入ると、途中天園ハイキングコースへの分岐点に庚申塔や五輪塔が安置してある。E
○延宝八年阿弥陀型庚申塔が市指定。阿弥陀もサルも顔が大きめで可愛らしい。
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※鎌倉宮(大塔宮)から鎌倉駅へバス10分、徒歩30分、
※覚園寺の見学時間 10、11、1、2、3時(鎌倉宮バス停の掲示で確認)
鎌倉宮から鎌倉駅まで徒歩なら、次のようにコースを変えて石仏を見ながらバス道(鎌倉−金沢線)を帰るとよい。
 ▲荏柄天神鳥居前から真っ直ぐに未舗装の参道が(鎌倉宮の参道と交叉して)バス道まで続いている(部分図)。天神鳥居下に庚申群。
 ▲バス道を戻ると次の「岐れ道」(大塔宮参道入口)に道しるべ石碑3基。
F宝戒寺(\100)の鐘楼付近に庚申塔その他がある。
  ○文化文政、丸の中に一猿を描いただけの庚申三基(三基で一組?)  
  ○自然石に種子を一字彫っただけの薬師如来  ○線刻の馬頭観音 ○地神/庚申合体塔
 
その他この付近の主な石仏:

瑞泉寺:階段を上がった山門脇に市指定青面金剛。形の変わった六地蔵石幢。

明王院:入口に塔頂にサルの居る庚申塔、水掛け不動。延命寺跡に指定民俗資料の地蔵庚申。

稲荷道:明王院から300m引き返し、バス道をはずれて裏通りを浄明寺へ向かう途中、大樹の下に3体の庚申塔があり、「庚申塚」として市指定。

報国寺:入口にかかる「華の橋」脇に数体の石仏。巡礼道道しるべ(坂東三十三観音一番杉本寺から二番岩殿寺(逗子)へ)。

参考資料:木村彦三郎:鎌倉の庚申(S48)
       水沢、大貫:鎌倉の石仏(S56)真珠書院
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鎌倉市の指定庚申塔
鎌倉市には貴重な文化財が多いため庚申塔の類には「重要民俗資料」の指定がされている。
   寛文5  山の内 八雲神社 三猿
  寛文7  片瀬 法源寺 (龍口寺右入る)  三猿
  寛文8  寿福寺 庚申供養塔(文字塔)
  寛文8   植木129 竜宝寺 (大船フラワーセンター先竜宝寺トンネル)  三猿
  寛文10  大町 八雲神社 地蔵型
  寛文10  小袋谷 厳島神社 三猿
  寛文10 上町屋616 上町屋天満宮(モノレール湘南深沢) 三猿
  寛文11 極楽寺 三猿
  寛文12 材木座 五所神社  三猿 
  寛文12 今泉 白山神社 三猿
  延宝元  坂下 御霊神社 青面金剛
  延宝8  西御門 八雲神社 青面金剛
  正徳2  十二所 明王院
  享保8  瑞泉寺 ?
  文政8  坂下 御霊神社 青面金剛(踊る三猿)

小袋谷   藤沢−戸塚道しるべ (北鎌倉 鎌倉古道分岐点)
庚申塚  ※ 浄明寺稲荷小路261-2 御所ウラ 浄明寺に通じる山際
      定印の阿弥陀庚申(貞享)光背、2邪鬼を持つ青面金剛、念仏塔

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