主な石仏の解説 神奈川の「石仏地図」から代表的な石仏を写真説明する。   目次へ 
   
道祖神    
 双体道祖神(僧形)保土ヶ谷
   双体道祖神(僧形)
 双体道祖神(男女神) (和合神)
村境に立って諸々の災いが村に入るのを妨げる塞の神。和合神(性神)。どんど焼きの行事の主役。
道ばたにある旅の守り神・・・などいろいろな性格があるが、本来は性神で原型は陰陽石
戸塚区、栄区、泉区、丹沢など相模国には多いが、武蔵国(保土ヶ谷ほか)にはほとんどない。

僧形(双子のお地蔵さん)と男女雛型の2種の型があり、僧形が起源。「何かの形」を巧みにデザインしたものらしい。
双体道祖神の起源は神奈川県
神奈川県では、二つの型とも「合掌型」のままだが、神奈川以外では、男女が「手を握る」型(握手型)や「お酒を注ぐ」型(酒器型)に変化する。
馬頭観音
    馬頭観音(立像)
 馬頭観音(三面)
 馬頭観音(座像)
やさしい顔をした観音の中にあって唯一の憤怒相の観音。形はいろいろだが、額に馬頭を持ち、印を結ぶ。
馬が唯一の交通機関だったことから、や道の守り神。馬の慰霊。
地神
  地神(保土ヶ谷)
地神(藤沢柄沢神社
堅牢地神(文字塔)
地神信仰は幕末から明治にかけて流行した。本来は万物を産み育てる「大地の恵み」を表すインドの女神
日本では武神や天女の姿で作られ男女神とも花を盛った鉢を抱える。神像は少なく文字塔が多い。
「堅牢」はインド語の発音を写しただけで意味はないらしい。
図の武神像は「御影=木版のお札」を写したもので、全国でも藤沢を中心とした地域にだけに存在する。
庚申塔
青面金剛(合掌6手標準型)
青面金剛(合掌6手標準型)
青面金剛(合掌6手標準型)
             合掌6手標準型の持ち物: 三叉戟、宝輪、弓と矢、合掌
  青面金剛(剣人6手標準型)
青面金剛(剣人6手標準型)
青面金剛(剣人6手標準型)
剣人6手標準型の持ち物: 三叉戟、宝輪、弓と矢、宝剣、女人  髪を吊された半裸の女性ショケラと呼ぶ。
ショケラの意味、語源、呼び名の可否(ショケラと呼んでいいのか?)・・・について、議論がが多く、公認された定説はない。

大畠「青面金剛進化論」を参照。・・・商羯羅天(ヒンズー教の最強神シヴァの別名)。三尸虫(尺タレ虫)の誤読−シャ→シヤケラ・・・など    
 ◎窪徳忠「庚申信仰の研究」S36の 「ショケラは、青面金剛が三尸虫を退治する姿を表現」という説が正しいと思われる。
青面金剛(6手変型)−大蛇・・
青面金剛(6手変型)−数珠・・
青面金剛(6手変型
−輪、索、数珠、人・・
  青面金剛(4手変型
青面金剛(6手変型
日月、矛、索、弓矢
青面金剛(6手変型
輪、珠、索、棒、弓矢
青面金剛は病を流行らす悪鬼が改心して病を駆逐する善神になったもの。何時の頃からか庚申の神様になった。
人の体内に住んで様々な障害(健康、精神衛生、運勢)をする三尸虫を封じ込め駆逐する。
儀軌には四手像の姿が詳しく描写されているが、関東地方の石仏では何故か四手像は珍しく、六手像が多い。
     →(四手像は悪鬼時代の姿、六手像は改心して善神になった姿と考えられたものと思われる。)

六手剣人型と六手合掌型が標準だが、六手の持ち物を変えた変型も多い。
剣人型は庚申のお札や掛軸として広く全国に普及した。
    地蔵庚申
地蔵庚申
地蔵庚申(横浜最古の庚申)
    阿弥陀庚申
阿弥陀庚申
阿弥陀庚申
庚申塔には、青面金剛だけでなく、地蔵阿弥陀など様々な仏像が彫られる。
庚申塔は庚申講が無事に終わった記念碑であり、それ自体が信仰の対象ではないから何の姿を作っても
構わないとされた。庚申塔の代わりに橋を架けたり、神社の鳥居を修理したりした例もある。
     三猿庚申塔
三猿庚申塔
三猿庚申塔(日本最古)
@庚申(かのえさる)を表すサル、A山王神社の使いのサル、B三猿のサルが結びついて、庚申塔には三猿が付き物になった。
ただし結びつきの順番についてはまだ定説がない。
初期の庚申塔や掛軸では三猿でなく、一猿や二猿が多い。→したがって三猿起源説Bは間違いである。
サルが烏帽子をかぶったり御弊を持ったりするのは山王のサルのデザインから来たもの。
サルの他にトリ(鶏)を描いた掛軸や庚申塔も多い。サルの日からトリの日にかけての徹夜行事だからサルとトリを描くという説明@で十分。
  自然石庚申塔
猿田彦庚申塔(神道系
       三猿付き石祠
その他
     巳待ち
二十三夜塔(月待ち
     北斗星信仰
庚申待ち以外に、日本には昔から「日待ち」「月待ち」「巳待ち」などの徹夜願掛けの行事があった。
   宝篋印塔
   五輪塔     宝篋印塔
石塔の形式には、五輪塔と宝篋印塔が多い。
  大日如来(出羽三山)
不動明王(大山道)
摩利支天
(左)大日如来は宇宙を司る最高仏、特殊な印を結ぶ。
塔の下部は出羽三山参詣の記念塔。出羽講を作り費用を出し合って代表者が参詣した。
                         (右)摩利支天は「かげろう」の神格化で、「動きが見えない」という特技を持つ。
                            剣術道場、相撲取り、ばくち打ちに信仰された。三面で猪に乗る。
地蔵         聖観音          地蔵 
聖観音(庚申塔)        阿弥陀?
十一面観音/千手観音など多面多手観音の異形観音の中にあって、一面二手の観音を聖(しょう)観音という。
本来は「正観音」で「異形ではなくノルマルな観音」の意味。石仏では蓮華を一輪持つ姿に作られる。
六地蔵
六地蔵の名称と持ち物に注目

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