01日本橋 5.人物の改変 1 2 3 4 5 まとめ 目次へ | |
広重再刻版B2は、江漢図Aの人物を広重初版B1の上に全部重ねて、賑やかにしたもの。 B2=B1+A ◎この場合、当然ながら広重の手元に江漢図があったことになり、江漢図ニセモノ説は成り立たない。 |
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★再刻版には江漢図の人物を原則としてそっくりコピーされているが、次の2ヶ所だけは微妙に改変されている。 | |
江漢図:オランダ出島の使用人であるインドネシア人 オランダ使節のお供をして江戸に出てきたという想定。 (実際は出島から出ることはなかった。) 赤い頭巾に赤い腰巻きはインドネシア人の風習。 |
江漢図: 南蛮襟を付けた一本刀の武士。 和服の上に南蛮人(ポルトガル人)の衣装の襟だけ付けて 真似たもので、信長〜秀吉時代の西洋かぶれの衣装。 |
広重図: 以前から、住吉踊りと言われる。 しかし「〜踊りの図」は踊っている場面を描くのが常識。 広重は傘に神社の御幣を加え、赤頭巾を青頭巾に変え ることで、インドネシア人を住吉踊りに改変した。 |
広重図: 覆面の武士。高級武士のお忍び外出用。 200年前の人物が日本橋を歩いていてはまづいので、 広重当時の人物に改変した。 |
江漢は長崎の旅でオランダ出島のインドネシア人に会い、西遊旅譚/西遊日記に写生を残す。 当時、インドネシア人に関心を持った数少ない日本人の一人。江漢は、世界地理、旅行記などで、インドネシア人を実際に見たことを自慢している。 |
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改変の理由: 広重は、当時の日本橋に実在しない人物を、「真景」を売り物にしたシリーズに登場させるわけにはいかなかった。 |
参考図 | |
和服の上に南蛮襟をつける。 |
南蛮屏風の南蛮人(ポルトガル人) |