川崎のまとめ            まとめ   目次                              
★「北斎の弓なり船頭」が謎解きのカギ   広重(初版、再刻版)−江漢図−北斎の三角関係
広重初版と再刻版にはほとんど違いがない。→再刻版が作られた理由−−すなわち、金と手間をかけてまで、わざわざ改訂した理由は、これまでの研究者は誰も思いつかなかった。(仮説すらなかった。)

江漢図と較べると一目瞭然、江漢原図通り忠実に描き直しさせられだけである。(船頭のポーズ、輪郭線のない白抜きの富士・・・)    描き直しが必要だった一番の理由は、船頭のポーズ。「弓なりの船頭」は北斎の専売である。

広重は大先輩の北斎に心酔していたため、江漢の原図を忠実にコピーするのが仕事だったかかわらず、船頭のポーズだけは、北斎の船頭を真似てしまった。
これまでの北斎五十三次とは全く違う現地写生」ことが売り物だった広重五十三次に、一目で分かる北斎の模倣は困ると保永堂が考え、「余計な工夫はせずに、江漢図通りに写す」よう再指示して描き直しさせた。
 
北斎五十三次川崎       広重初版         広重再刻版         江漢画帖     
  
広重初版              広重再刻版(白抜き富士)          江漢図(白抜き富士)
この川崎図には、他にも北斎→広重の人物がある。北斎五十三次「川崎」の「馬の草鞋を取り替える馬方」のポーズが広重五十三次「川崎」の「砂遊びをする駕籠かき」に写されている。
 
★北斎は広重のライバルであり、「広重が北斎の真似をするはずがない」というのが美術界の定説だった。

最近広重のうちわ絵に北斎「富士三十六景」がコピーされているものが海外美術館で発見されて大騒ぎになった。1年半の研究の後の結論は、「広重は、同じ絵を描いてもオレの方が上手という自慢をするために、北斎図をコピーして見せた・・・」という奇妙な結論になった。
すでに崩壊した定説に義理立てした無理矢理のコジツケである。(NHK番組)
   
    北斎 富士三十六景               広重うちわ絵(NHK番組より)    
「広重が北斎をコピーするはずがない」というのは根拠のない定説で、この定説も誤りであったことが証明された。
海外美術館の秘蔵品を探すまでもなく、目の前の広重五十三次の中にも各所で北斎のコピーが見られる。
    →戸塚、御油、赤阪・・・参照
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