20 府中のまとめ           まとめ        目次へ
広重/江漢府中の安部川背景の山は、徳願寺山しかない。(この方角には他の山がない。)

東海道線が静岡駅を出るとすぐ安部川を渡るが、この時、右」の車窓一杯にずっと見えている山で、見落としようがない
ただし、光線の角度の関係か、何回撮っても写真写りが悪く山の凹凸がはっきりしないので、主としてカシミールとの比較で論じる。
 
これまでの広重五十三次解説では、「賤機山」がしばしば出てくるが、徳願寺山の名前はまったく出てこない。
賤機山は静岡城の背後にある山で方角/距離とも見当はずれの山である。(賤機山は昔から詩歌に登場する有名な山。)
「大正の写真集」には、どこを撮ったのか分からない風景が写っているが、これも賤機山

大正以前の間違いが、100年近く訂正されずに引き継がれているらしいが、現地の唯一の山である徳願寺山に誰も注目しないのは不思議である。

徳願寺山の特徴は中腹にあるL字形の窪地。戦国時代、この窪地に「大窪山徳願寺」が建てられ、山の名前になっている。

●江漢図/広重図ともこのL字形の地形がちゃんと描いてある。
江漢図の山容は、カシミール図とよく似ている。
広重図の形は、一見あまり似ていないように見えるが、朝霧で一部を隠すと、驚くほどそっくりになる。
  広重東海道五十三次55枚の中で、朝霧が描かれているのは府中の一枚だけ。朝霧が残る中で写真鏡スケッチをしたのであろう。
  
江漢の書簡・・・「府中を出てから終始快晴が続き、雲一つない富士山を写生した。」→府中を出るまでは朝霧が残っていたのであろう。
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