46庄野    全1ページ              目次へ

江漢図と広重図は同じ図柄だが、遠景の森の表現が少し違っており、この部分だけは広重の工夫と思っていた。

右下図は、インターネットで紹介された「もう一つの江漢図」。※
印鑑が押してあるが、署名がない。江漢が気に入らずに描き直した「失敗作」と思われる。
(もう一つの江漢図)
雨にけぶる遠景の森の手法を較べて見よう。広重「庄野」では、江漢図と「失敗作」の両方を参考にしていることが分かる。
「失敗作」はごく最近まで江漢画帖と一緒に保管され、江戸時代にも画帖とともに広重の目に触れていることが分かった。
大畠G論では、広重は江漢画帖だけでなく、写真鏡原図や人物モデルなど江漢が使った原資料一式を入手し、全部を参照して五十三次を描いたとした。
この「失敗作」の存在は、広重が「原資料一式を入手」して活用したことの証明の一つである。
※インターネットによると、以前画商の手元に江漢画帖と一緒にあったのを目撃し、この1枚だけを購入して所有しているとのこと。
以前から江漢ニセモノ論を展開している人のホームページ情報。反対論者からの情報なので、そのまま信用出来ると思われる。
 
庄野は広重東海道五十三次の中でも最高傑作とされ、広重は「雨の画家」として絶賛されることが多いが、その賛辞の大部分は江漢に向けられるべきものである。
inserted by FC2 system