54大津 3.広重の後摺り        3     まとめ    目次へ

(A)標準的な「山あり」。屋根と屋根の間の白い三角は琵琶湖である。

琵琶湖抜きの「山あり」。

(C)ぼかし位置を決めるための試し摺り。青板にノミ跡が出来た。
 「広重の世界展」1996では初刷りとして展示された。
様々な「山あり」大津
昔から、山のあるのが初摺りと言われていたため、出版物には様々な「山あり」が掲載されている。

(A)標準的な山あり。白く光る琵琶湖の向こうに逢坂山があることになり、実際の地形と矛盾する。

(B)地形の矛盾を避けるために、琵琶湖を消した摺り。

(C)山を入れる場合、青(空)のぼかしと、黒(山)のぼかしが重ならないように、ぼかしの位置を決める必要があった。
この図は位置決めのための試し刷り作品ですらない

 この作業で、青板にぼかし位置を示すノミ跡が入った。
 ノミ跡を追えば、刷りの前後が分かるはずである。

1996年生誕200年記念「広重の世界展」で、この一目で分かる試し刷りが「初刷り」として堂々と展示されていた。カタログ参照

内田実「広重」昭和5に、次のような意味不明の一文があり、これに忠義立てして初版としたのであろう。
大津の初版では、空が一面に藍潰しになっている。」
 
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