54大津 4.山の比較         4    まとめ    目次へ

 広重東海道五十三次大津以外の山との比較
同じ広重東海道五十三次シリーズの他の作品(金谷、石部)と較べて、大津の山は薄汚く、明らかに見劣りする。
大津の山は後から入れたものであることが明白である。

中右瑛「安藤広重のナゾ」では、美術界の「故老」の談として
「山なしで摺った作品を売り出したが・・・有名な逢坂山が必要と気付き・・・あわてて山を刷り込んだ・・・色の違いなどの不自然さが出た・・・世に残る山のある作品はほとんどが後で刷り込んだもの・・・」と言わせている。
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ある本で、「後で刷り込んだかどうかについて、コンピューターで重ねてみれば同じ形かどうかですぐ分かるはず」という意見を見た。

「後で刷り込んだ」について、広重研究者に誤解があるようである。
「一旦市場に出たあと、流通の段階で入れた」のではなく、「版元が後摺りで入れた」ということであるから、コンピューターで較べても山の形は全部同じである。
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