54大津 6.謎の人物           6  まとめ    目次へ

江漢図 牛車の列の先頭を歩く人物。大人の肩までの身長だから13〜15才くらいの少年。室町時代の牛飼少年であろう。 
 
牛飼い少年は、馬や牛の世話をするのが
仕事で、江戸時代にはない風俗。

広重は、赤い着物とお河童頭を生かして
3才くらいの童女に改変した。 
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室町時代、近畿地方では馬借と呼ばれる運送業が盛んで政治勢力にまでなっていた。
当時の絵巻物には、「放ち髪」「短く切った女物の小袖」「カウボーイハット」の粋なスタイルの牛飼少年が大人に混じって働く姿が描かれている。上図は、運送の仕事を終え、空になった馬に打ち乗ってさっそうと帰ってくる場面。少年たちのあこがれの職業だったろう。
江漢の自宅の近くに牛問屋があり、江漢は牛問屋を訪ねて、牛車運送業の歴史を聞き書きして著作に残している。牛飼少年にも関心があったらしい。
江漢はこの画帖の2、3ヶ所に、昔の人物/実在しない人物を描いており、広重はそれを現実の人物に改変している。
      日本橋 南蛮襟の武士→覆面の武士、インドネシア人→住吉踊り、大津 室町時代の牛飼少年→3才の童女
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