現地風景との比較    0                 目次へ
 
江漢図と広重図は、大部分が同じ図柄。偶然の一致ではないから、どちらかがどちらかのモデル(原図)である。
一番単純で簡単な議論は、現地風景との比較である。
   「現地風景に近い方がモデル」「現地を見ないと描けない方がモデル」と言い切って良いであろう。
     
江漢図が現地風景にそっくりな事例が他にも多数あるが、議論/反論の余地がない単純な例を6件紹介。
  江漢図 広重図
1.箱根   恩賜箱根公園からの正確な写生。 山がデフォルメされて写生場所は不明
2.蒲原 蒲原宿から5km離れた場所に写生場所発見。 現地風景とまるで違うことで、昔から有名。
3.由井 初冬の富士(積雪状況)や地形の正確な写生 現地そっくりで有名だが、江漢図の方が正確
4.江尻 海上からサッタ山の地形を正確に写生 東海道名所図会のコピー
5.岡部 特殊な地形の場所から山の形を正確に写生 同じ構図だが山の形がデタラメ
6.吉田 東海道から離れた地点から石巻山を正確に写生 東海道名所図会のコピー
 ◆これらの例について、「江漢図は広重図のコピー」という主張は絶対不可能である。
 
★以上のように、モデルコピー問題(どちらがモデルか)の議論は、すでに決着が付いている

  「江漢図の作者は江漢本人かどうか」という命題とは、はっきり切り離して議論すべきである。

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