マハーカーラの謎3  2種類のマハーカーラ(戦闘神と福神) 大黒天の起源(その1)  マハーカーラ小目次へ
 
マハーカーラがヒンズー教の神を踏む理由について、2説がある。
@ヒンズー教の最高神シヴァを倒すことで、さらに強い神であることを表現する。
Aヒンズーの神を踏むことで、ヒンズー教の神ではなく仏教の神であることを示す。すなわちけじめをつけるため。

シヴァではなく、ガネーシャを踏むマハーカーラがあることから、A説が正しいと思われる。
                        ヒンズー教の福神ガネーシャ
                      
ガネーシャは、人々の願いを叶えてくれる福の神だが、慌て者で可愛らしくインド人のアイドルのような存在で、例えて言えば日本漫画の「どらえもん」に近い。「どらえもん」を征伐して見せたところで、強い神とは誰も思ってくれない。
ヒンズー教の神を踏む理由はA仏教の神であることを示すけじめのためであるが、もう一つ重要な意味がある。

Bヒンズー教の神を踏む神は、踏まれた神に取って代わるすなわち何を踏んでいるかでそのマハーカーラの役割が分かる

ヒンズー教の最強神シヴァを踏むマハーカーラは仏教の大将軍であり、ヒンズー教の福神ガネーシャを踏むマハーカーラは仏教の福神である。すなわちマハーカーラには大別して戦いの神と福の神の2種類があるのである。
マハーカーラは大別して2種類がある。シヴァを踏む戦いの神とガネーシャを踏む福の神である。
  「怖ろしい戦いの神であるマハーカーラが、福の神大黒天に変わったのは何故」という昔からの謎がある。
   そうではなく、もともと2種類のマハーカーラがあっただけであり、福神マハーカーラが大黒天になったのである。
   
ガネーシャを踏むマハーカーラ(福の神)



シヴァ夫妻を踏むマハーカーラ(戦闘神)
戦闘神マハーカーラは、より強い姿を求めて時代とともに次々変容し、75種類ものマハーカーラが生まれた。
一方、福神マハーカーラは、初期の姿(上左図)がそのまま受け継がれた。
チベットや蒙古では現在まで、初期の姿そのままの姿(上左図)で福神として信仰され続けている。
仏典や曼陀羅のマハーカーラ

シヴァを征伐している姿であるから、戦闘神のマハーカーラである。

この怖ろしい姿が、福神の大黒天の姿に変わった訳ではない。

マハーカーラという名前が共通なだけである。

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