神奈川の双体道祖神(1)  双体道祖神のルーツ        TOPへ道祖神トップにもどる        
道祖神の代表が双体道祖神。そして双体道祖神といえば、長野や群馬が本場と思われている。
「道祖神」というタイトルの豪華写真本にも、長野や群馬の道祖神だけが載せられていることが多い。
ところが、双体道祖神のルーツ神奈川県なのである。
神奈川の初期双体道祖神
江戸初期(寛文年号)の双体道祖神が、山北など御殿場線沿線に6基(武田久吉「路傍の石仏」)、あるいは13基(有村雄介「造塔を伴う道祖神信仰」(日本の石仏1983夏号))存在し、この年号は正しいこと/日本で最古であることが認められている。
(参照:日本石仏協会「日本石仏図典」、日本石仏協会「石仏巡り入門」)
武田久吉「路傍の石仏」より 初期(寛文期)の神奈川道祖神の写真を紹介

神奈川の初期双体道祖神は、男女神ではなく、左右同形同寸の僧形神が合掌した姿で僧形合掌型である。
道祖神はドンド焼き行事で酷使されるため一種の消耗品である。摩滅破損すると新しいものに更新されるが、その際、初代道祖神の造立年を刻むことがよくあるため、造立年には注意が必要である。
神奈川の初期双体道祖神の場合は、同じ時期に同じ様式の道祖神がまとめて存在することから、石仏に彫られた年号が正しいことが相互証明されているのである。
古い形式を継承した神奈川(横浜市)の比較的あたらしい道祖神
僧形はやがて男女神に変わり、さらに持ち物が付け加わるが、神奈川県では僧形/男女とも合掌型がそのまま継承される。
神奈川県には、(1)最古の時代の原型がまとまって存在するだけでなく、(2)初期の様式がそのまま近代まで継承されているものが多く、長野や群馬の道祖神とはかなり様子が異なる。
その意味で神奈川県は、道祖神の研究の場として最も重要な場所である。
とくに僧形合掌双体道祖神(双子のお地蔵さん型)の研究は、双体道祖神のルーツを探るために不可欠である。

     ★「左右同寸同型僧形合掌型双体道祖神」は分かりにくいので、地元小学校の副読本にならって、「双子のお地蔵様」型と呼んでおこう。

次ページへ  TOPへ道祖神トップにもどる

inserted by FC2 system