青面金剛/マハーカーラ/シヴァ                  まとめ目次へ
青面金剛/マハーカーラ/シヴァの関係

○唐の時代、インド密教の「マハーカーラ」の姿が、説明抜きで絵図だけ一人歩きして中国に伝わり、ドクロの首飾りや蛇を巻き付けた怖しい姿から病気を流行らせる悪鬼誤伝されて、「青面金剛」と命名されて病気平癒祈祷用に使われた。
マハーカーラと青面金剛の関係は「誤伝」であり、本来は無関係である。

○しかしマハーカーラの姿/持ち物/飾りが、青面金剛に引き継がれているため、青面金剛の姿を理解するにはマハーカーラの研究が必要である。

○マハーカーラは「ヒンズー教の最強神シヴァ」に対抗するために作られた「仏教の神様(将軍)」である。
初期のマハーカーラは、シヴァの姿をそっくり借用しているため、シヴァの持ち物/飾りが(マハーカーラを経て間接的に)青面金剛に伝わっている。  
マハーカーラの重大な誤解
マハーカーラは、紀元500年頃のインドで、ヒンズー教の最強神シヴァに対抗するために、仏教側で作った仏教の戦いの神(将軍)である。大黒天と訳されるが大間違い。「」は仏教以外の神が仏教に帰依したときの呼び名。

「マハーカーラはシヴァの化身」とされることが多いが、基本的な間違いである。
マハーカーラは、「シヴァ夫妻を踏む」などヒンズー教の神を征伐することで、仏教の神であることが誰にも分かるように表現している。
 
唐時代の「大日教疏(しょ)」や仏教用語辞典「慧琳音義」以来、マハーカーラ(上図左)が吊下げた動物は、1300年の間「山羊/羊」とされてきた。
実は動物は「白牛」であり、丸裸にされた人物は、当然「戦いに敗れたシヴァ」である。

間違いの原因は、インドなら子供でも知っている「シヴァと白牛の密接な関係」について知識が足りなかったこと、日本/中国には「白牛」が居ないため「山羊」と見誤ったことである。シヴァを示すヒント「白牛」を見失ったため、「人物」が誰か分からなくなって意味不明の「餓鬼」とされ、「人物を征伐するマハーカーラ」の身分も怪しくなって、大黒天になってしまった。
チベット寺院に残る様々のマハーカーラの多くは、シヴァ夫妻または象の姿のガネーシャ(ヒンズーの神)を踏んでいる。
「シヴァを征伐する神」がシヴァのはずがない。「マハーカーラはシヴァの化身」という説を、誰も疑わなかったのは驚きである。
初期のマハーカーラは、その姿や持ち物のほとんどすべてシヴァから借用しているが、シヴァを征伐することで仏教の神を表現している。そこを見落とし「シヴァに似ているからシヴァ」と考えたのは軽率である。
シヴァと青面金剛
青面金剛の姿や持ち物は、マハーカーラから引き継いでいるマハーカーラはシヴァとそっくりに作られたから、青面金剛の持ち物もシヴァから(マハーカーラを経由して間接的に)継承されたものが多い。
●青面金剛に引き継がれたシヴァの持ち物・・・三叉戟、額の三眼、髪に隠れた蛇・・・
●青面金剛に引き継がれたシヴァの持ち物・・・ヘビの巻き付いた棒
青面金剛の持ち物のうち、もっとも不可解だが、シヴァが手にしているリンガである。
シヴァにはリンガ(男性器)信仰が付き物。 以下「ヘビの巻き付いた棒」に関連するヒンズー教図像

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