マハーカーラの謎2  マハーカーラのいろいろ                 マハーカーラ小目次へ
1.日本や中国の経典や曼陀羅のマハーカーラ   羊と餓鬼の髪を吊り下げ、象の皮を剥いで背中に被る。
  
  胎像界曼陀羅                 別尊雑記          空海の時代、唐で発行された慧琳音義(仏教語事典)                                          足下に地神天女あり、両手で足を承く・・・支えている?踏まれている?   
2.チベット仏教のマハーカーラ(中期密教) この時期の密教が中国・日本に伝わった。
 
象神を踏む6手像・・・各地(チベット・蒙古)にこの図が多い       シヴァを踏む。ポーズは中国/にほんおマハーカーラに似ている            
3.チベット寺院(後期密教)のマハーカーラ    男女神が抱き合った形が多い
  
後期密教は、中国・日本には伝わらなかった。男女合体図の一部が立川流などの淫祠邪教と共に伝わり、ラマ教への誤解を招いた。
 
 
◎マハーカーラに踏まれるヒンズー教の神々   何を踏むかでその仏像の正体が分かる
1.丸裸にされたシヴァ夫妻
 
2.装飾持ち物を付けたシヴァ夫妻
 
   飾りを付け、太鼓を持つシヴァ                        太鼓三叉戟を持つシヴァ。シヴァ妃が夫を助けようと足を持ち上げている。
3.ガネーシャ(象神)を踏む  ガネーシャはヒンズー教の福神
 
参考図
 
京都醍醐寺: 降三世明王に踏まれた大自在天(シヴァ夫妻)     ヒンズー教図像: ビシュヌ神に敗れたシヴァ夫妻フンドシ姿 
 
4.胎蔵界曼陀羅 
餓鬼と羊を吊す・・・」は経典の大間違い。「マハーカーラ」が、白牛に乗ったヒンズー教の神シヴァを打ち倒した図である。
敗れたシヴァ(フンドシ姿)が乗り物の白牛と一緒に吊り下げられている。
が描いてあることで、吊り下げられた人物がシヴァであることが分かり、さらにマハーカーラがヒンズー教に対抗する仏教の神であることが分かる。

  
  中国・日本では白牛を羊と見誤った。           白牛がシヴァ神(大自在天)の乗り物であることは、インドでは子供でも知っている。
インドの牛は白。白くて角が長いほど神聖な牛とされる。 一方、中国の牛のイメージは黒なので、「角の生えた白い動物」と言えば山羊と羊しか思い浮かばない。唐の玄宗皇帝の時代、密教が中国に導入された当初からすでに「羊」とされている。
1000年以上前からの仏典の誤りである。

●白牛を羊と見てしまったため、人物が誰だか分からなくなり、それを征伐するマハーカーラの正体も分からなくなった。
大日経疏では、墓場荒らしの小鬼(茶吉尼天)を大黒天が懲らしめている図」としている。
マハーカーラは、ヒンズー教の最強神シヴァに対抗するために仏教側で作った戦いの神(仏教の大将軍)である。
仏教で作った神を大黒と呼ぶのは、基本的な間違いである。
 
マハーカーラは中国・日本では明王に変わった。
不動明王と降三世明王
  
  シヴァ夫妻(大自在天)を踏む姿の不動明王もあり、シヴァ征伐の役割は不動明王の分身である降三世明王に継承されている。

  
                      シヴァ夫妻を踏む不動明王(底哩三昧不動尊念呪秘密法)  シヴァ夫妻を踏む降三世明王
「不動明王=シヴァ」説について
不動明王がいろいろな点ででシヴァと似ていることから、20年ほど前「不動明王=シヴァ」という説が唱えられ、学会でも真剣に議論されたことがあった。今は下火になっているが、これまで述べてきたことからも、この説は間違いであることが明白である。

ヒンズー教のシヴァに対抗するために、シヴァをそっくり真似た仏教の神マハーカーラが作られ、そのマハーカーラが不動明王に発展したのである。シヴァに似ているところがあるのは当然であり、「シヴァに似ているから不動=シヴァ」とは言えない。マハーカーラを経由してシヴァに似ただけであり、不動明王の原型はあくまでも仏教の神マハーカーラなのである。

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