1.電子アルバム                    パソコン目次に戻る
撮りためた石仏写真の保存管理に頭を悩ませている人は多いと思う。
1枚の写真を探すのに10冊ほどのアルバムを全部探さねばならないし、資料作りに使った写真を元のアルバムにきちんと戻すのは面倒な作業で、重要な写真に限っていざというとき簡単には見つからない。数年前、ついに音を上げて管理方法を考えることにした。

パソコンの「電子アルバム」機能で整理するのが一番である。
石仏研究者の手元には貴重な画像資料が死蔵されている。
自分用の保存整理だけでなく、画像資料を仲間に配布し情報交換する時代がやってきている。

「1000枚程度の石仏写真、絵図、石仏地図などを整理保存し、自分の研究や解析に活用するとともに、石仏同好者に頒布して情報交換する」という想定でパソコンの利用を実際に試して見た。

(1)アルバム管理ソフト
デジカメを買うと、写真をパソコンに取り込んでアルバム化するアルバムソフトが付いている。さらにCDアルバムを作る機能も付いており、それだけでCDアルバムを作って配布することは一応可能である。
旅行のアルバム程度であればそれでもよいが、出来ればもう一つアルバム管理ソフトが欲しいところである。私は以前のパソコンに添付されていた「蔵衛門」の旧版をそのまま使っている。10数種のソフトが出回っているが、「蔵衛門」は定番ソフトの一つである。

●デジカメソフトの他に、何故もう一つ「蔵衛門」が必要かを理解してもらうのはなかなか難しい。

石仏の例でいうと、
1)デジカメのアルバムでは自動的に撮影順に写真番号が付き、その順に並んでしまう。
順序を変えたり、説明図を挿入したりするには、写真番号を工夫して付け直す必要があり、大変面倒である。
「蔵衛門」なら自由自在に順序を動かせる

2)普通のデジカメソフトでは「鎌倉建長寺にて」程度の簡単なタイトルしか付けられない。
石仏アルバムではもう少し詳しい説明が欲しい。
「蔵衛門」では約400字分の説明文を付けることが出来、写真を移動/コピーするとその説明が自動的に付いてくる。

(2)スキャナー
デジカメ写真ならそのままアルバムになるが、すでに大量の写真を撮り貯め、その整理に頭を悩ませている人は、スキャナーを使う。操作はコピー機と同じ要領である。写真以外の文献やカタログの絵図などを取り込むのにも必要。

有用性に比べて申し訳ないほど極安で、アルバムの整理には1万円前後の製品(600dpi)で十分である。私は1200dpiの器械を買って持っているのだが、未だに使い慣れた300dpiを使用しており、それで間に合っている。
フィルムネガからスキャン出来る機能も付いているが、画質が悪くほとんど実用性がない。

スキャナを使わず、写真や図面をデジカメで撮影する方法もあり、資料のメモ程度には使えるがるが、次のような問題がある。
@四角い画面が、少し膨らんで丸く写る。A水平がずれると四角が梯型に歪む。B白い画面がなかなか白く写らない。(ホワイトバランス)

(3)Viewer付きアルバム
「蔵衛門」アルバムは、「蔵衛門」の入っているPCでしか見られないが、それでは情報交換にならないので、「Viewer付きアルバム」の形で出力するのが普通である。これならどのPCでも見られる。

(4)パソコン仕様
前記のように、最近のパソコンのハードディスクは大きすぎるくらい大きいので、安心して保存できる。HDD不足なら120GB以上の外付けHDD(1.5〜2万円)で簡単に増強出来る。

現在のパソコンのほとんど、CD-RWドライバーを備えているので、CDを作成出来るはずである。この数年でCD−RWの性能/スピード/安定性も向上し、気軽にコピーが出来るようになった。
CDにはラベルを貼ることが出来ない。(重量のアンバランスで回転に支障が起きる。)
これまではケースにラベルを貼り、CD面にはマジックで名前を書くだけだったが、最近は普及型プリンターでも、CDに直接ラベル印刷が出来るようになり、楽しみが増えた。

(5)電子アルバムの利点

@紙の印刷物よりずっと安い 
A保存スペースが要らない 
B他のソフトにコピーできるので資料作りが簡単 
C印刷物より画質がよく、デジタルなのでコピーを繰り返しても画質が低下しない。
Dパソコン画面で拡大縮小、トリミングや部分拡大、明度や彩度の調節が出来る。
Eスライドショーで大量の写真を順番にまとめて眺めることが出来る。
Fアルバムの編集(写真の順番の入替えやテーマ別再編集など)がきわめて簡単。
Gほかの形式のアルバムにもコピーなどで簡単に取り込める。

配布するときは「ビューワー付きアルバム」として出力。「蔵衛門」の入っていないパソコンでも、拡大写真、スライドショー、印刷、コピー、アルバム全体のコピーが出来る。

 
文献のアルバム化
写真のアルバム化がうまく行ったので、次に文献資料をアルバムとして保存配布する事を検討した。写真(サービスサイズ)との違いは、原図のサイズが大きい(A4)こと。
文字がはっきり読めないと意味がないこと。
まともに取り込むとメモリが大きくなりすぎるため、どの段階で圧縮するかが問題。

実務テストの結果
「日本の石仏」25年分 100冊(論考部分)をアルバム化した。

作業時間:一人で約1ヶ月  
メモリ:ちょうどCD3枚に収まった。

注)文献をパソコン資料化するには次の2通りがある。
(1)画像として取り込み、画像のまま、電子アルバムとして配布する。(本項)
(2)「キーで再入力」または「スキャナとOCRソフト」で解読して文字に変換させ、テキストファイルの文章に戻す。(後述)

(2)の方が格段に使いやすい資料になる(全文検索なども可能)が、資料化の手間(作業時間/工数)が、(1)の10倍以上かかると思う。OCRの文字解読で1%程度のミスが避けられず、読み合わせ校正が結構大変である。
  「馬−罵」の識別はきちんとやるが、 「江戸」など画数の少ない漢字の解読にミスが多い。

上記は、とりあえず(1)で資料化して見た結果である。

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