48関 4.本陣当主 1 2 3 4 5 まとめ 目次へ |
この図の主役は、裃姿の人物である。これまでの解説では用人(庶務係りの武士)や武士の上役などと思って解説しているが大間違いで、この人物は本陣当主(町人)である。江漢図でははっきり帯刀しているが、広重図は帯刀の有無を故意に隠して描いている。 |
町人である本陣主人が帯刀しているのは、本陣だけの特別な作法。「名字帯刀」とは別な制度である。 大名が本陣に滞在している間だけ、本陣当主を家臣として臨時採用し、その証として裃と刀を下賜する。※ |
臨時とはいえ家臣だからお供の武士と同じ身分である。江漢図は本陣当主(町人)が武士と対等に応対している場面。 双方とも腰をかがめ、相手に一目置いている。江漢は、この絵でそれを描きたかったのであろう。 |
広重は、江漢図の意味をはっきり理解していたが、本陣作法を知らない一般読者の誤解を生む恐れがあったので、応対の相手を町人に変え、帯刀の有無を隠して、無難な画に仕上げた。 |